CO2を吸収するのは陸上植物だけじゃない!海洋生物による「ブルーカーボン」って?
みなさん、こんにちは!
だんだんと、日本の気候が亜熱帯地域のようなものになっているような気がするのですが、一体全体地球は大丈夫なんでしょうか。
50年後の夏はきっと暑すぎて、もはや外に人間の姿を認めることはできなくなってしまっているんじゃないでしょうか。
ここ数十年、ひしひしと気候変動の影響を受けている地球ですが、もう人間が住めるような星ではなくなってしまうのではないのかと思ってしまいます。
暑いと、正常な思考ができなくなり、ちょっとしたことにもカッとしてしまう短気な人をどんどん生み出して、経済活動がストップしてしまうのではないかとも、(私がそうなので)、勝手に危惧している今日この頃です。
この大・気候変動時代を乗り越え、次世代の負担を軽減するためにも、現在私たちの抱える環境問題に意識を向け、どのような取り組みが行われているのか、そして私たち個人に何ができるのか、この煮えくり返るような暑さの中でも思考する必要があります。
陸上植物じゃない!「海洋生物」によるブルーカーボンって一体なに?
前回・第2回目のテーマは「森林のカーボンオフセット」でしたね。
カーボンオフセットは、「カーボン(排出されたCO2)をオフセット(相殺)する」、つまり、「排出しちゃったCO2を別のどこかで実現した吸収量/削減量で相殺する」ということなんですが....
「えっ、前回に続けてまたカーボンオフセット??」と感じる方もいるかと思いますが、カーボンオフセットはカーボンオフセットでも、ちょっと舞台が違うんです。
前回のテーマでは陸上の森林が主人公でしたが、今回は海中の海藻などが主人公。
前者による吸収されたCO2は「グリーンカーボン」と呼ばれ、後者のそれは「ブルーカーボン」と呼ばれています。
グリーンカーボンに比べ、なかなか知名度が低いことと思いますが...
それもそのはず、ブルーカーボンという言葉は、2009年に国連環境計画(UNEP)報告書にて命名され、まだまだこれから開拓されていくであろう分野なんです。
「CO2を吸収する」というと、多くの方は陸上の森林を思い浮かべると思いますが、実は海中の海藻などもCO2を吸収し、大気中に出た温室効果ガスの削減に一役買っています。
浅場・干潟・藻場を増やそうとする動きが加速している現状を受け、今回の記事のテーマに「ブルーカーボン」を採択したというわけです。
取材したのは、神奈川県の横浜市!恐るべきハマっ子の底力。
様々な疑問を解決するべく、今回は、横浜市温暖化対策統括本部(以下、横浜市)の秋山さまに、「ブルーカーボン」をテーマにお話を伺いました。
横浜ブルーカーボン事業 YOKOHAMA BLUE CARBON
神奈川県横浜市の温暖化対策統括本部企画調整部プロジェクト推進課は、平成23年から「横浜ブルーカーボン事業」というプロジェクトを行っており、令和5年の現在も海に関するイベントなどを行っています。
まだ今ほど話題にも上がらない何年も前からブルーカーボンに着目し、海に関する教育を通じて地域内での繋がりを深めている横浜市に色々とお話を聞いてきちゃいました。
では、いってみよ~!
そもそもどんなことしてるの?
ーまず最初に、横浜市のブルーカーボン事業の概要について教えていただけますか?
横浜市のブルーカーボン事業では、
・海洋生物によるCO2吸収を目的としたブルーカーボン、
・臨海部におけるエネルギー等の利活用を目指したブルーリソース、
・海に親しんでもらうための普及啓発活動
の3つが軸となっています。
横浜独自の考え方「ブルーリソース」って?
ーブルーカーボンに加え、ブルーリソースという考え方もあるのですね。
はい。
ブルーリソースは、海洋及び臨海部におけるエネルギー・資源の有効利用ということを目的とした取り組みで、例えば...海運関連企業によるLNGを使ったタグボートの使用が例として挙げられますね。
LNGというのは、なかなか馴染みのない言葉かもしれませんが、液化天然ガスのことです。これは、天然ガスを冷却し液化させたもので、こうすると体積が大幅に減るため大量貯蔵が可能になるんです。輸送も効率が良くなりますよね。
また、石油や石炭に比べ、燃焼時に発生するCO2やNOx(窒素酸化物)の量が少ないため、環境負荷の低いエネルギーとして注目されているんです。
ーなるほど。ブルーリソースという考えのもとでは、「海を利用する際の環境負荷を減らす」ことも目指しているのですね。他にはどういった事例がありますか?
他だと、アミューズメント施設における海水ヒートポンプの使用が挙げられます。
これは、空調設備に海水を熱源に使えるヒートポンプを導入するという取り組みです。導入することで、これまでと比べて空調設備のエネルギー効率が上がり、相対的な環境負荷を軽減できるというわけです。海洋生物だけでなく、海水も資源として有効活用する取り組みです。
ーブルーリソースという考えを取り入れることで、企業にとってのメリットは何かあるんでしょうか?
横浜市では平成26年度から令和4年度まで、ブルーカーボンとブルーリソースを活用した独自のカーボン・オフセット制度「横浜ブルーカーボン・オフセット制度」を実施していました。この取組により、クレジット創出者は企業や団体にクレジットを売ることで収益が発生します。この収益を使って自身の活動をさらに活性化させることができる、というのがメリットですね。
クレジットによって得た資金を、河岸清掃や藻場生成、水質改善藻場のモニタリング費用に充てることで、「海洋としてのヨコハマ」として地域プライドの向上にも繋がります。
海洋に着目した「ブルーカーボン」、その取り組みの実態は?
ー横浜市は、この制度にどのように関与していたのですか?
横浜市は企業からの申請に対して、横浜市独自の方法論でクレジットの認証・発行を行っていました。クレジットの売買は、創出者と活用者の間で行われていて、横浜市は制度の事務局を担当していました。
ー「横浜市独自の方法論」、ということは国全体で決められた制度というものはまだ存在しないのでしょうか?
ご指摘の通り、現時点(2023/09)では、国で決められたブルーカーボンの認証制度がありません。
そもそも「ブルーカーボン」という言葉自体、2009年に国連環境計画(UNEP)報告書にて命名されたもので、グリーンカーボンと比較すると歴史がとても浅いです...。
ただ、国も検討を行っていて...J-ブルークレジット(ジャパンブルーエコノミー技術研究組合 [JBE] が認証・発行・管理する独自のクレジット)の制度化を目指しています。
今はまだ確立されているものではありませんが、将来的にはJ-クレジットと同じように、ブルーカーボンに対しても制度が確立されるのではないかと思います。
ーまだこれから、という段階なんですね。
はい、そうですね。
ー令和4年度でブルーカーボン制度自体は終了してしまうそうですが、平成26年度から振り返ってみていかがでしょうか?
環境意識に対しての社会情勢の高まりやブルーカーボンという言葉の認知度の向上を受け、横浜市のプロジェクトの実績を上げることができました。
海に親しんでもらうための普及啓発活動については引き続き行っていく予定ですので、皆様にも楽しみにしていただければと思います。
まずは海を知ることから!横浜市の普及活動について。
ー今年はどんな「普及啓発活動」を実施したのでしょうか。
横浜で5月に開催されたトライアスロンの世界大会や、8月に開催された「うみ博」といったイベントで、ブース出展をして、海や海藻に関する教室を開きました。お子様だけでなく、大人の方にとっても、ブルーカーボンの役割を知っていただく良い機会だったと思います。
また、例年冬に、八景島シーパラダイスさんと連携して、子供たち向けのわかめ植え付け・収穫イベントを実施しています。12月に自分たちが植え付けをしたわかめを3月に収穫する、という楽しさを知ってもらえるイベントとなっています。
今後も引き続きイベントを開催しますので、お楽しみに!
最後に
いかがでしたでしょうか?
今回は、陸上植物のグリーンカーボンではなく、海洋生物のブルーカーボンに着目して、横浜市の方に取り組みを取材させていただきました。カーボンオフセットという言葉は世の中に浸透しつつありますが、「ブルーカーボン」について知っている方は少なかったのではないでしょうか。
横浜市の取り組みのように、海を舞台とした環境活動に貨幣価値を見出し、クレジットという形で売買可能にすることで、その資金で活動をさらに活性化することができる、という良い循環が生まれているように感じました。
また、ブルーカーボンの取り組みを今後も発展させていく上で、海藻の役割についての普及啓発活動を行うのも重要ですよね。偉そうにこの記事を執筆している私も、あるイベントがきっかけでブルーカーボンの存在を知りました。知らないことには深くを追求できないので、この記事がそのきっかけとなれば幸いです。
SECOND HAND(セカハン)では、中古iPhone・iPad・AppleWatch・MacBookなどの中古端末を販売しており、森林を活用したカーボン・オフセットを行うことで、お客様にご購入いただいた端末1台につきCO2を10kg削減(※)しています。
(※)SECOND HAND(セカハン)では、森林を活用したカーボン・オフセットを行うことで、ご購入端末1台につき、CO2を10kg削減しています。
カーボン・オフセットには、日本国内の森林を適切に管理することにより創出されたカーボンクレジットを活用しています。
最後までお読みいただきありがとうございました!ではまた次回お会いしましょう!